Nikon F5 with Ai Noct-Nikkor 58mm F1.2S

Nikon F5

世界最高のイタリアンデザインと、世界最高の日本の技術が融合した夢のマシン

1996 年にニコンが渾身の力を込めて「どーだ!!」とこの世に送り出した世界史上最強の一眼レフが、この「Nikon F5」です。秒速 8 コマのモードラを内蔵し、色まで見分ける RGB マルチパターン測光機能を搭載しました。オートフォーカスもバシバシ決まり、超音波モーター内蔵レンズと組み合わせると最高のパフォーマンスを発揮するらしいです←持ってない。

このカメラ、重量が1.4kg 程と「デブ」ですが、その造形とシボのあるラバーのおかげで撮影中は全然重量を感じません。ホールディングが良く、手にフィットするので、私の場合は Nikon F100 よりもハッキリ言って操作しやすいくらいです。机の上でいじり回している時とか持ち歩いてる時はさすがにその重さに閉口しますが…。しかし、Nikon F3 や Nikon F100 にモードラ付けた場合よりも小さく軽いので、気合いを入れて撮影する場合は Nikon F5 を絶対に使います。やはり大きく重くても撮影者の「絶対的信頼感」を得るだけの実績がありますからね。各操作ボタンも分かりやすく配置され、ボタンの感覚も重めで私好み。あちこちに誤作動防止の装置が付いていて、最初は煩わしいけどこれに慣れると安心感につながります。Nikon F5 以降のニコンのカメラは操作性が Nikon F5 と統一されています。

デザインは文句無しに威厳と貫禄があって、まさに最高級機という風格を持っています。イタリアンデザインっていいですよねぇ〜。ボディー材質はアルミダイキャストとチタン。特に骨格がそのまま表面に出ているので迫力です。仕事に使う時はカメラが大型で高級感があった方がクライアントから信頼されますし、長いレンズを装着した場合などはこの方が重量バランス的に安定するので、個人的には大きくて重いのも「性能」だと思っています。もちろん、お散歩カメラには適さないので、お散歩には Contax G2 や Nikon F100 クラスのものを持って行きます。しかし Nikon F5 をお散歩カメラに使う人っているのかな…。

秒速 8 コマというモータードライブのスペックは、Canon EOS 1V が出るまで3年以上ダントツの性能を誇っていました。「一般人がそんなスペック必要なの?」と疑問に思う人も多いですよね。確かにホームページなんかを徘徊してると「Nikon F5 のスペックはオーバースペックだから、Nikon F100 や Nikon F80 にした」と言う声をよく聞きます。私も秒速 8 コマなんて縁のない話だと思ってたんですけどね…。実際に時速 200km を超える速度で走る NASCAR のレーシングカーを追いかけてみようと思って Nikon F5 を持ち出したことがありました。レンズはヨンニッパで… もとい、同僚の奥さん所有の 75mm - 210mm のレンズを拝借して、いざ撮影!調子に乗って秒速8コマでバシバシ撮影し、後日現像して写真を見る。結果はすばらしく、ピントを外したコマは一つもありません。しかし、いくら 200km の猛スピードで突進して来ているとはいえ、やはり秒速 8 コマは不要でした。8コマ撮っても同じような写真を量産するだけなんですね。事故でも起きれば、秒速8コマが活きるんでしょうが(おいおい)。

しかし最近地元シアトルでのイチローや佐々木の活躍に触発され、シアトルマリナーズの試合を何度も観に行きました。そこでイチローのバッティングフォームを秒速8コマのコイツで狙ってみよう、と言う事で Nikon F5 を持って球場へ。イチローがバッターボックスに立ってピッチャーが投球!ピッチャーの手元からは時速150キロの剛速球が飛び出す。その瞬間、私の Nikon F5 が火を噴いた!!「カシャカシャカシャカシャ!」(←4枚)しかし投球から打撃まで8コマも撮れませんよ…。何せ 0.5 秒以内に投球→バッティングのドラマは完結してしまうのですから。その時撮影した写真をお見せしましょう。


↑ ピッチャー投げた!


↑ 球が画面右端に見える


↑ イチロー打ち返す!(打球は画面右端)


↑ ライト前ツーベース!

撮影データ
Nikon F5、AIAF Nikkor 180mm F2.8S
1/800 @ F2.8
Fuji ISO 800

ごらんの通り、投球から打ち返すまで 0.5 秒ほど。従って、4枚しか撮れていません。2枚目の画面右端にピッチャーからの球が見えたと思ったら、次のコマではすでにイチローに打ち返されて、やはり球は画面右に写っています。秒速8コマなので、2枚目と3枚目の間はたった 0.25 秒ほど。うーん、やはりスポーツは動きが速いです。秒速8コマの Nikon F5 でさえ「ジャストミート」の瞬間の撮影は難しい(数打ちゃ当たると思いますけど)。もっと細かく撮りたいと思うなら、やはり伝家の宝刀である「Nikon F3H」にご登場願うしかありませんね(こいつは秒速13コマ!)。

ご覧の通り、特に「特殊な用途」じゃなくても、秒速8コマで足りない場合もあります。普段使わなくても、例えばスポーツカーもその潜在能力にカネを払うのであって、最高級機には「必要」なスペックだと思います。「秒速 8 コマ」を普段必要としなくても、その馬力のあるモーターの感覚は最高です。とにかく、大トルクで巻き上げるので素早いし、なによりスムーズなので撮影のリズムが良くなります。クルマに例えると、V12 エンジンで加速するような感じですね。Nikon F100 と比較してもその差は歴然としていて、圧倒的です。

RGB 測光についても、ほとんど露出補正など必要が無いくらいに完成度が高いように思われます。反対に露出補正をしてしまうと失敗する事があるくらいです(汗)。まずオート任せで問題ありません。

AF 性能もバツグンに良いですね。一度空を飛ぶトンボをノロマなマイクロニッコール 105mm でコンティニュアスサーボモードにして追尾したことがありましたが、ちゃんと追尾するのにはホント驚きました。背景は青空でした。普通のカメラなら中抜けしてフォーカスが行ったり来たりして使い物にならない状況です。トンボがフォーカスエリアから外れてもすぐに中抜けせずに、フォーカスをキープします。そして他のフォーカスエリアにトンボが入ったら、ちゃんとそのエリア追尾します。

また、ニコンのフラッグシップ機はどれもファインダーを交換できます。これこそ普通の人なら「秒速8コマ」以上に使わない機能だと思いますが、ファインダーを交換できるプロ用一眼レフを作っているのはニコンだけです。天体写真を撮る私としては、これだけで私はニコンを選んでしまうんですね。もっぱら天体写真には F5 よりも F3 を使う事の方が多いのですが、しかしそれでも F5 に登場願う機会もあります。そしてファインダーは視野率は当然 100%。この仕様も必要としない人の方が多いと思いますが、一眼レフは見たままが写るというのが利点なのであって、正論で言えば 100% じゃないと駄目です。普通の一眼レフは視野率 96% 前後のものが多いですね。たったの 4% の違いですが、例えば 17mm レンズと 18mm レンズとでは焦点距離の違いが約 5%。視野率 100% 以下のファインダーで覗くと、17mm を使っていても実際には 18mm 分しか見えていないことになってしまいます。

オプションのアクセサリとして、私はマルチデータコントロールバックを多用しています。インターバル撮影機能や撮影データの写し込み等を実現していて大変便利なのですが、残念なのは液晶パネルに照明が付いていないこと。天体撮影時など暗い場所ではまるで役に立たないんですよね。6 万円もするオプションなのに、もう少し考えて欲しいと思います。それと、厚みがあってややアンバランス。もっと薄型にして欲しいです。

1996 年の登場から既に 7 年目。未だに大変満足しています。個人的には、ほぼ満点を与えられるマシンだと思っています。Nikon F6 が出るのかどうか分かりませんが、このカメラは手放したりしないと思います。ニコンから 35mm フルサイズの CCD 搭載のデジカメ一眼レフが登場するまで、Nikon F5 は私のメインカメラとして活躍するでしょう。

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