私はカメラを持って出掛ける時、どのカメラを持って行くかかなり悩むタイプである。パーティーなどちょっとフォーマルな所に行っても私は記念写真を撮りたい病に罹ってしまうのだが、そういった場に一眼レフを持ち込むのは絶対にダサイと思っている。お洒落な街を歩くとき、彼女とでかける時、ちょっとフォーマルな場で「さり気なく」写真したい場合は、一眼レフなどはお呼びじゃないのだ。
では、どんなカメラが良いのだろうか?やっぱり小さいカメラに決まっている。パーティーなどで正装している紳士が首からバズーガなどぶらさげていたら興醒めである。こういった場ではカメラは常に人の視線に入ってはいけないし、カメラはあくまでも脇役でないといけないのだ。しかし、小さければいいってもんじゃない。ビシッとアルマーニを決めた紳士が胸ポケットから「写ルンです」なんかを取り出したやはりダサイ。やはり、パーティーやデートの時は格好良く、そして気品のあるカメラじゃないとイカンのだ。
Contax TVS はそんなワガママな私にピッタリのカメラだ。総チタン外装のボディーには気品が漂い、昔のライカを彷彿とさせる沈胴式の Carl Zeiss Vario Sonnar の精密感はとても格調高い。手動のズームレバーは、微妙なズーミングを可能にするだけでなく、「カメラを自分の意志で操作する」感動を与えてくれる。各種フィルターやメタルフード、セミハードケースなどが用意されているなど、至れり尽くせりのコンパクトカメラだ。特にセミハードケースを付けると何ともクラシカルな雰囲気が出てオシャレだ。
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レンズは 28-56mm のズームレンズ。私は「コンパクトカメラでズームは不要主義者」なのだが、Contax T2 と比べてこのカメラのレンズが醸し出す精密感に負けた。実は T2 を下取りに出して TVS を購入したくらいだ。T2 は良いカメラなんだがピンぼけが多いのが難点だった。TVS の描写だが、広角側の絞り解放では周辺光量の低下が目立つ。これ自体は悪い事では無いが、使いこなすには慣れが必要。また、広角側では被写体によって歪曲が目立つ。色乗りは他の Carl Zeiss よりも渋めの味付けとなっていて、Carl Zeiss の割には保守的な描写をするレンズだと思う。
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このカメラを使って8年ほどになるが、今までに色々な所に持って行った。日本、アメリカ、台湾、ミャンマー。私とずっと一緒に過ごして来たと言っても過言ではない。カメラは思い出を切り取る機械で、カメラの中にも様々な思い出が詰まっている。あちこちについた傷のひとつひとつにも思い出が染み込んでいる。一度ラスベガスへクルマで行く途中、ネバダ州の砂漠で岩の上に落としてしまい、カバーが凹んでしまった事があった。そしてラスベガスでの貴重な思い出の撮影後、死んでしまった。すぐに死ななかったのは、チタンカバーのお陰か?いや、関係ないだろうけど。
話が逸れてしまったが、このカメラは私が一生手放さないものの一台だ。「一生物」のコンパクトカメラなんて、この使い捨ての時代にそう出るもんじゃない。時代はデジタルとなった今「カメラの一生」は細く短いものとなっている。新製品が出ても半年で陳腐化という時代になって、末永く使えるカメラというはこれから貴重になる。
ちなみに私が持っている TVS は初代のもの。マイナーチェンジモデルの TVS II はあらゆる部分でコストダウンが計られ、TVS III では妙な開閉式バリアのお陰でフィルターやフードが付けられないばかりか、ズームが電動になってしまって T シリーズの売りである「高級感」が半減してしまった。京セラは初代 TVS のカタログの中で電動ズームなどを「否定」していたにもかかわらず、何のためらいも無く TVS III で採用してしまった。ポリシーが無いというか、節操がないというか、京セラはカメラ事業から撤退して正解かも?
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作例

ミャンマーの僧侶達